日本でERP(統合業務パッケージ)が広まったのは2000年前後のことでした。その
きっかけのひとつに、私が中心となって出版した「SAP革命(1997年)」という本が
あります。この本が出版されるまではERPという言葉を知っている人はほとんどい
ませんでした。
この本が出版されたのちに、急速にERP導入を検討する企業が増えました。
今、考えるとこの本に書いたことは間違いだったのではと反省しています。何が間違
いだったのかというと受注生産対応を強みとする日本企業にはそもそもERPのビジネス
モデルは向いていていないかったからです。現在無理してERPを導入した企業で業務
混乱が多発しています。この話は昨年出版した「誰も教えてくれない生産管理システム
の正しい使い方」でも触れましたが、日本企業の強みを無視した安易なERP期待論を
展開してしまったことに自責の念を感じています。
当時なぜ私がERPに憧れたのか。それはそれまでの汎用コンピュータやオフコン用業務
パッケージの作りに不満をもっていたからです。当時のパッケージは洗練されたものと
はいえませんでした。パッケージ利用を提案したとしても実際にシステム導入する際に
はMRP計算などの一部機能を使うだけで、実際にはほとんどが新規開発でした。
パッケージはデモをするためのツールに過ぎなかったといっても過言ではありません。
そこに登場したのがSAPに代表されるERPです。業務を徹底的に分析して開発された
ERPならそのまま利用できる。それがERPへの期待につながったわけですが、今から
考えるとこれは早計でした。顧客に合わせる必要性の高い日本企業の情報システムに
このアプローチはありえませんでした。
結果的に日本でERPを入れようとするとカスタマイズの山となり、昔のシステム構築
費用よりも高くついてしまったという話を聞きます。さらにERP導入によって自由度
の少ないシステムができあがり、それを補完するという口実でExcelやRPAに
頼るといった本末転倒な業務運営になっている会社もいます。
その後私は「超高速開発ツール」というシステム構築ツールに巡り合いました。
超高速開発ツールはERPのように業務の標準化をベースにしているのではなく、業務処理
の標準化をターゲットにしています。
この発想は目から鱗でした。日本企業のシステム開発にフィットするツールはERPでは
なく超高速開発ツールなのではないか。実際に複数企業のシステム開発に超高速開発ツール
をつかって取り組んでみましたが、たしかにこのアプローチなら業務システムを安く開発
できるうえに開発の自由度は高まります。
ぜひ皆様も超高速開発ツールの活用を検討してみてください。
なお当方では、導入トラブルが多発している「繰返し型部品加工会社の生産管理システム
はこうあるべきだ」を紹介するためのテンプレートシステムを超高速開発ツールを使って
作っています。できあがりましたらご紹介しますので、困っている方はもう少しお待ちく
ださい。