新型コロナウイルス問題が深刻化する一方ですが、製造業界のリスク対策が不十分な気がします。そこで製造業界向けの緊急対策提言をまとめました。
多くの製造業者、とくに大手工場は海外サプライヤーからの部品調達問題に目がいっているようです。しかし、リスク管理面では国内の外注部品会社でのコロナ感染によるクラスター化に対する対策も考える必要があります。
工場の大半が都市部ではなく郊外にあることもあって、工場がコロナウイルスのクラスター化するケースはまだ少ないようです。しかし、もしも外注先の部品会社がクラスター化して休業に追い込まれた場合、日本の製品工場の生産は大丈夫でしょうか。日本の外注会社に対してはJIT(ジャストインタイム)納品を要求している大手製品工場も多いと思います。そうした外注会社からの納品がストップした場合、当該製品工場の生産は維持できますか。
昨年の台風で長野の一油圧部品会社の生産が止まったことで、日本の建設機械業界全体が大混乱しました。コロナ休業問題でも当該製品工場のみならず取引先の部品会社群を含めたサプライチェーン全体が機能麻痺する怖れがあります。コロナウイルスとは無関係な中小部品会社の中にも資金繰り悪化で経営を維持できなくなるところがでてくるかもしれません。
この問題を抑える最大のリスク対策は、資金力に余裕のある大企業の工場が先行して在庫品を調達することにあります。具体的にいえば従来のJIT納品体制を、最低でも2から3週間分の在庫を蓄える体制に変えることです。
実際にコロナ休業が発生してからでは手遅れです。本緊急提言を読んだ方は、大企業の経営者や工場関係者に伝えてください。日本の製造業界のサプライチェーンが崩壊したら日本経済復活どころではありません。崩壊したサプライチェーンは国民への現金給付では回復しません。JIT調達にこだわっている状況ではありません。
株式会社ほんま 本間峰一
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