診断の秘訣は仕掛品滞留分析にあります

先月、一年前に簡易工場診断した大手工場に訪問し、改善活動状況フォローしてきました。詳細は守秘義務契約のために開示できませんが、工場の皆様の尽力もあって滞留時間短縮などの業務改善活動は着実に進んでいるという報告がありました。

簡易工場診断は診断場所や工場規模にもよりますが数十万円で実施できます。第三者が参加することで自社内だけではわからなかった新たな気付きも浮かび上がります。

近年の外部環境の急激な変化や導入したERPの考え方とのミスマッチの影響で生産混乱が発生している工場が増えているようです。手遅れにならないようにするためにも、工場診断を受けていただくことを推奨します。

ところで、コンサルティング会社に業務診断を頼むと数千万円も請求されることがあるのに、数十万円程度で工場診断ができるのかと疑問に思われた方もいると思います。その秘密は、「仕掛品滞留分析」にあります。

工場内の「仕掛品の滞留」に目を向けることで、当該工場の現場管理状況や生産管理システムの活用状況を容易に把握できます。工場の業務運営やシステム活用の巧拙は仕掛滞留や中間製品在庫量に集約されることが多いためです。たとえば製造リードタイム全体の80%程度は滞留時間が占めているといわれたりしますが、滞留時間の長い工場では現場が独自判断で製造順の調整をしていたりすることがあります。

滞留に起因する業務課題は製造現場を回って仕掛滞留品の現物や滞留品の指示伝票をみるだけでもある程度把握できます。さらにコンピュータデータを分析するとより詳細な管理課題を確認することもできます。

実際の診断現場では現物確認やデータ分析をベースにわたしが様々な工場で体験した滞留問題を加味した課題仮説を作り、関係者に現状の業務内容を質問していきます。質問回答に関して関係者に集まっていただいて内容を討議することで、当該工場の課題と解決策を浮かび上がらせます。

そんな単純なアプローチなら自分たちだけでも診断できると思われる方もいると思います。大企業の幹部にはそう考える人も多いようです。コンサルタントに頼らずに、自分たちでさっさと自分たちだけで対策をみつけて改善しろといった発言する幹部もいます。仕掛品の滞留問題にターゲットを定めてしまえば、外部支援なしでも改善実施をしていける可能性はあります。

しかし、社内だけだと他部門の課題にまでは口出ししづらいのが常です。現場はなんとなく問題点があることはわかっていそうだが、顕在化されていないといったことはないでしょうか。ここで私のコンサルティング経験と第三者という立場が活きてきます。私の診断を実施した企業からは「目から鱗」だったといわれることも多いです。

最近相談が増えているのが、トップダウンでERPシステムを導入した工場です。ERPは実製造時間の収集だけにこだわりがちで、滞留時間の見える化は軽視しています。これが工場内の改善思考回路から滞留問題を外す要因となっています。

実際にERPに踊らされて滞留対策よりも製造時間対策、計画立案(スケジューリング)、原価計算にこだわってしまう工場がいます。仕掛品滞留に無頓着だと現場がシステムを使いこなせないだけでなく、独自EXCEL管理が広がる要因になることも心配されます。結果的に、工場現場で混乱が広がり、システム活用や業務改善どころではなくなります。

こうした工場のかじ取りを滞留対策重視に切り替えるためには、外部からの助言が必要です。そして、それがわたしが簡易工場診断を展開している理由です。

皆様の工場の定期健康診断だと考えていただき、簡易工場診断受診の検討をお願いします。診断費用以上のメリットを得られること約束します。

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