昨年度より日刊工業新聞社や日本情報システムユーザ協会(JUAS)などで、生産
管理システムの使い方に関する有償研修を実施しています。大手企業から中小企業まで
延べ150人弱の人に受講していただきました。
ところが、システムベンダのSEやITコーディネータの受講がほとんどありません。
生産管理システムは他の情報システムと異なり、導入作業よりも活用が難しいことを
特徴としています。それはデータフローだけでなく生産管理ロジックに対する正しい理解
がないと十分な導入効果を得ることが難しいためです。単なる生産指示書や注文書の発行
システムであれば生産管理ロジックを知らなくても構築できますが、 一歩踏み込んだシ
ステム活用をめざすのであれば生産管理ロジックの理解は必須事項です。
たとえば、大半の生産管理パッケージがMRPロジックをベースに採用しています。
しかし、MRPロジックは、日本に多い受注生産色の強い工場で運用するには無理があるこ
とは広く知られています。それを無視してユーザ企業にMRPシステムを押し付けてしまう
ベンダがいますが、それが生産活動に支障を起こしている工場が増え ています。
以前のように自社工場や外注工場に製造余力があった時代は在庫で誤魔化しながらでも
MRPを使うことができました、しかし人手不足時代の工場はではそうはいきません。
MRPどおりに部品が手に入らないことで大幅な納期遅延を引き起こしたり、製造ライン
ストップに追い込まれている大企業もでてきています。
残念なことに日本の生産管理理論研究は30年前にほとんどストップしてしまい、適切な
日本語参考書がありません(30年前のMRPの本はそれなりに参考になりますが、 ほとん
ど絶版です)。そこでこの度『誰も教えてくれない「生産管理システム」の 正しい使い方』
という本を出版しました。

製造業コンサルタントやITコンサルタントの中にも生産管理ロジックを勉強しな いで
生産管理のコンサルしている人がいます。中にはIoT導入やスマート工場化 すれば何でも
解決できるといったことを平然と語るシステムベンダ関係者もいます。
そういった人にだまされないための理論武装としてぜひ本書をお読みください。
さらに深く学びたい方は次回(12月7日)の生産管理システム研修を受講ください。
生産管理システムは動いただけでは意味がありません。使いこなしてこそ効果がでてきます。