台風19号では洪水対策のためのピークカット対策の重要性が話題になりました。日産スタジアム(鶴見川多目的遊水地)、地下放水路(地)、八ッ場ダム、渡良瀬遊水地、荒川第一調節池(彩湖)など多くのピークカット治水対策が効果を発揮しました。水利権といった根深い問題も残っていますが、首都圏ではいろいろな洪水対策が行われていることがわかりました。全国の水害被害を最低限に封じ込めるためにも更なる対策が進むことを願います。
洪水対策報道を見ていて、工場の納期遅延対策もよく似ているなと感じました。都市化によって森林や田畑の保水能力がなくなったことが洪水を生み出しやすくなった要因といわれていますが、同じように工場でも人出不足が納期遅延問題の発生を引き起こす要因になりつつあります。
工場におけるダムや遊水地などに相当するのが、平準化生産によるピークカットです。ところが、日本の工場経営の世界では平準化生産が重要だという認識があまり進んでいるようにみえません。いまだに製造現場や外注会社が努力すれば能力不足は乗り越えられると考える大企業スタッフが存在します。これでは太平洋戦争時の大本営と同じです。ひとつの部品の欠品で工場のラインが止まる。そのことだけで企業の損失は図りしれなくなります。
洪水対策では流域の河川の水位計や監視カメラの役割もクローズアップされました。これを工場に当てはめると生産実績データの監視になります。日本の工場ではこの実績監視も十分には機能していません。私が実施している生産管理システム研修企業に参加していただいた方々の話を聞いても相変わらず生産管理システムは「生産伝票発行機」で、工場の進捗管理は「工程追っかけマン」が飛び回っているという工場が数多く存在します(しかも町工場ではなく大工場に多いです)。
ベンダから提案されたIoTを入れるだけですぐに監視ができて効果がでると思っている勉強不足な経営者もいて、現場は振り回されているとの嘆きをよく聞きます。この状態では、いくら私のようなコンサルタントが平準化が重要だといくら提言しても、それを実践することは困難です。そこで作ったのが次に紹介します「簡易工程管理ツール」です。もうすぐ複数工場でテスト利用をはじめますが、十分な生産実績監視ができずに困っている工場は利用を検討してみてください。