デルがパソコンではじめたBTO(Build To Order)という生産方式が注目を集めています。BTOは正式な生産管理用語ではATO(Assemble To Order:受注組立生産)といいます。ATOは、製品の組立てに必要な部品やユニットを予め先行手配して在庫しておき、注文(オーダー)が入った時点でその部品を組み立てて製品を出荷する生産方式です。

自動車も基本的にATOで生産されています。多品種少量生産の進展とともにATOを採用する最終製品企業が増えています。ATOでは、生産者は最低限の在庫保有で顧客からの要求に対応して生産することがもできます。そのため、オプション品などの在庫負担で苦しんでいる最終製品メーカの救済策として期待が集まっています。 

ところが、実際に製造業者を回ると、最終製品メーカよりも、受注生産の部品メーカでATOに取り組む企業が目につきます。具体的には取引先からの短納期要求に対応するために先行して部品手配や部品生産を実施するATO生産に踏み切らざるを得なくなった工場です。

こうした工場のATOは自ら意識してATOに取り組んだというよりも、仕方なくATOになったといったことも多く、付け焼刃にATOに取り組んだことによる混乱が広がっていることも多いようです。

たとえばMRP(資材所要量計画)方式の生産管理パッケージソフトでATOを管理しようとすると業務に支障が生じることがあります。

MRPは元来製品見込み生産計画をサポートするための仕組みのため、そのままATO方式の生産現場に適用としようとするとうまくいきません。ATO生産企業では先行して手配する部品が担当者の見込み違いや取引先の内示計画の精度不足で欠品することがありますが、MRPパッケージソフトは少しでも部品の欠品が起こると、それを使っている製品すべてのMRP計算結果に欠品アラームがでてしまうといったことが起きます。ひとたび欠品アラームが起きるとリカバリー業務だけに多大な時間が費やされてしまい、生産業務が滞ってしまう可能性もあります。

部品メーカがATO生産をせざるを得なくなったら、気を付けましょう。現場に混乱が生じている場合は対応策の相談に応じますのでお気軽にご連絡ください。