「コンサルタントが入って指導すれば必ず効果がでます」
現実にはこんなことはありえません。私は20年以上経営コンサルティングをしていますが、コンサル期間中に倒産した会社も複数ありますし、成果がほとんどでなかったとか、途中でプロジェクトを打ち切ったとか、経営者に報告内容を罵倒されたこともありました。唯一救われるのは一度払ってもらったコンサル費用を返せと言われたことはありません(コンサル費用は毎月払いが基本でした)。銀行系のコンサル会社にいましたので、売上修整が伴う返金というのは途中解約よりもペナルティとしてはきつかったです。
何度も失敗を繰り返していくと、これは受注してはいけない案件だと気づくコツみたいなものがわかってきます。主なものは次の5つかなと思います。
1.どうみても手遅れ状態にある
2.経営者が自分の思い付きに酔っているだけ
3.確実に誰かに騙されているが、それを覆すことは難しい
4.相手の窓口担当者との相性が悪い
5.解決方向性が見いだせない
コンサル商談では上記の4つを探して、これは無理だなと思ったら逃げるようにしています。
経営再生案件では1を正しく認識できないコンサルタントもいますが、金融機関系のコンサル会社にいたために、金融機関が当該企業をどう評価するかは何となくわかります。無理は無理ということで早いうちに引導を渡すことも重要だと思います。
相性というのは結構大きいです。一番厳しいのは自分がコンサルタントや他の社員(経営者)よりも優れていることをアピールするためにコンサルタントを使うという人です。そんな人がいるかなと思うかもしれませんが、大企業を中心にこういう人は結構います。私のような性格の人間にはこのタイプは苦手です。ただ、最初から相性の悪い人が前面にでているとは限らないのが難しいところです。過去に罵倒されたケースのほとんどが途中からプロジェクトに入ってきたほぼ初対面状態の人でした(それなので罵倒されても費用返金にはならなかったのですが)
あと、国会でありませんが、あえて関係者や経営者に合わせないという人もいました。これは結構コンサルタント泣かせです。
5についてはコンサルティング業界には有効な予防策があります。それは手法指導に徹するコンサルティングです。製造業でいえば5Sとか、アクティブラーニングに代表される問題解決技法のコンサルがこれにあたります。コンサルティング業界の主流はこのタイプです。コンサル会社から見ればトラブルは何としても避けたいと思いますから、リスクの少ない手法コンサルに頼りがちです。経営効果がでるかどうかはあくまで相手社員次第という形です。
コンサルタントをしていますとこれでいいのかという疑問は常につきまといます。いくらコンサルタントであっても無理なものは無理とはっきりギブアップする姿勢が重要ではないかと感じています。
ただ、コンサルタントという肩書にとってはギブアップが一番の難題です。つい何とかなりますといいたくなってしまいます。だからぜひコンサルタントも失敗するということを覚えておいてください。