企業経営にとって「過剰在庫の増加」は頭の痛い問題です。ところで何が過剰な在庫で、何が過剰でないかはどうやって判断すればいいのでしょうか。当社では在庫分析表を作って在庫品目を回転期間と在庫金額の両面から分類分けして過剰在庫かどうかを分析しています。
在庫分析表の横系列は対象品目の在庫(棚卸資産)回転期間、縦系列は対象品目の在庫金額を表します。在庫回転期間の数字は、財務分析で用いる金額ベース(回転期間=在庫金額÷売上金額)ではなく、数量ベースで計算した回転期間を用います(回転期間=在庫数÷出荷数)。
表はあるメーカの製品在庫の分析結果です。表の縦系列は対象品目の在庫金額で、左にいくほど多額な在庫金額を抱えている在庫品目だということがわかります。表の横系列は各在庫品目の数量ベースでの回転期間をあらわします。下に行くほど在庫回転期間が長くなり、必要数を超えた大量の在庫を抱えていることになります。∞というのは回転期間を計算した期間中に(通常は1年か2年のデータで計算)全く出荷がなかった品目のことです。一般的には死蔵品もしくは死蔵品予備軍とみなされる品目です。
過剰在庫が発生した要因を明らかにするために、第一優先で取り組むべきターゲットは、両者がともに悪い部分、表に○で括った部分の品目です。○で括った99品目(在庫金額の約45%)の具体的な在庫発生要因を洗い出します。ここの99品目の在庫だけでも半減できれば、全体在庫金額の約23%にあたる約1.5億円分の在庫を減らすことができることになります。
実際の分類作業では、販売管理コンピュータから抽出した個別製品ごとの出荷数量データ、在庫数量データ、単価などをEXCELに取り込み、EXCELのピボットテーブル機能を用いて表を作成します。ピボットテーブル機能を利用すると、対象数字をクリックすると具体的な品目名ごとの数字がでてくるようになるため、発生要因分析作業が楽にできるようになります。
在庫分析表で「過剰在庫」の具体的な品目が明確になったら、今度は品目ごとに過剰在庫が発生した要因を検証にするようにします。具体的には各品目の過剰在庫発生要因に関する仮説を作成します。その仮説をベースに現場部門の担当者にインタビューして具体的な発生要因を明らかにします。
分析作業の仮説生成で用いる代表的な過剰在庫の発生要因には次のようなものがあります。
- 死蔵品状態が放置されている過剰在庫
- 手配時の見込み違いによって生じた過剰在庫
- マスタ数字の設定が見直されていないために生じた過剰在庫
- コンピュータのロジックがおかしいことによって生じた過剰在庫
- だれかが売れると過信して手配したことによる過剰在庫
過剰在庫対策でお悩みの方はぜひ当方までご連絡ください。